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2026.04.15

【インタビュー企画】ウェイストボックス×学生対談

株式会社ウェイストボックスが目指す
経済と環境が両立する循環型社会

 

学生実行委員が、循環フェス名古屋に関わる企業に循環フェスへの想いや自社での取り組みについて伺う対談企画。
第2弾は気候変動対策の環境調査やコンサルティング事業を展開する株式会社ウェイストボックスに突撃しました。

鈴木修一郎(すずき しゅういちろう) 代表取締役

1975年埼玉県出身。早稲田大学教育学部卒。事業会社を経て、2004年に環境コンサルティングを専門とする会社に入社。2006年に独立し、株式会社ウェイストボックスを設立。現在、炭素会計を軸とする事業で、東証プライム上場企業約250社の気候変動に関するアドバイザリーを務める。

 

株式会社ウェイストボックスとは?

「環境と経済の両立を通して、循環型社会および脱炭素社会の構築に貢献する」をミッションに、企業の環境負荷やCO2排出量を可視化し、脱炭素や循環型社会の実現を支援している会社です。

 

-業務内容を簡潔に教えてください。

 2005年に当地で愛・地球博が開催されましたが、そこでは資源循環や持続可能な社会などをテーマに掲げていたので、その翌年に、ごみを捨てなくて済むような社会づくりの思いでウェイストボックスを設立しました。

当社は、環境負荷の把握と情報開示を専門としています。具体的には、製品を1つ作ることや、会社を1年間経営することによって、地球環境にどの程度の影響を与えたのかを評価しています。これをインパクト評価といいます。

インパクト評価は大きく3つに分けられます。

【組織のインパクト評価】
一つ目は、企業が1年間の事業活動を通じて、どの程度の環境負荷や炭素排出を生み出したのかを把握し、開示していくものです。
例えば、年間で100億円の利益を上げる企業は、その収益を生み出す過程で、さまざまな資源や化石燃料を使用しています。しかし、地球環境への負荷を一方的にかけ続ける形では、持続的に同じ売上げを維持していくことは難しいといえます。そこで、原材料を再生素材へ切り替えることや再生可能エネルギーの活用を提案し、地球へのインパクトを抑えた経営を支援しています。そのうえで、環境負荷を低減しながら、どのように利益を生み出していくかについてもお手伝いしています。

【製品単位の評価】
2つ目は、組織全体ではなく、製品を1つ作る際にどのような環境負荷が生じるのかを評価するものです。世の中で言うカーボンフットプリントとか、ライフサイクルアセスメントと呼ばれるものです。

【プロジェクト単位の評価】
3つ目は、例えば蛍光灯をLEDに切り替えるプロジェクトがあったとして、その取り組みによって、どの程度CO2排出量が削減されたのかを評価し、場合によってはそれをカーボンクレジットとする支援も行います。

このように、インパクト評価の専門家として脱炭素化を進める支援を行っています。

 

ーどんな企業がクライアントですか?

私たちはB to Bの企業がクライアントの中心で、そのクライアントの5〜6割は製造業です。また東京に本社を置いている企業が多いです。そのほか、サービス業や小売業など幅広い業種の企業を支援しており、その多くが東証プライム市場の上場企業です。

 

循環型社会や脱炭素社会の広がりと転換の契機

現在は一見落ち着いているように見えていても、着実に進んでいると感じています。再生可能エネルギーの導入が大きく進むきっかけは、災害や紛争によって、従来のエネルギー依存へのリスクが顕在化したときです。

 

-循環型社会や脱炭素社会の広がりはどこまで来ていますか

数年前にSDGsやカーボンニュートラルへの関心が高まったこともあり、現在は一見落ち着いているように見えるかもしれません。しかし実際には、脱炭素への取り組みやサプライチェーン全体での対応は、着実に進んでいると感じています。

 

-社会が循環や脱炭素へ転換するきっかけは何か?

再生可能エネルギーの導入が大きく進むのは、災害や紛争などによって、従来型のエネルギーに依存し続けることのリスクが顕在化したときです。近年の国際情勢の変化により、日本でも化石燃料の輸入や資源調達の不安定さが意識されるようになりました。そうした背景もあり、脱炭素への取り組みは一層後押しされていると考えています。
例えば、今4年を過ぎ、5年目に入ったウクライナ戦争の場合、あの当時のEUはロシアから安定的にガスが供給されていましたが、そこで再生可能エネルギー(太陽光、水素、メタンガス等)に大きく舵を切りました。今回、またイラン戦争で、日本もこの化石燃料の輸入がかなり厳しくなり、脱炭素の方向に進んでいくでしょうね。結果的にグローバル経済が分断されている状況で、地域地域で資源循環させなければ、立ちゆかなくなっています。

 

Z世代や女性の活躍の分野として

循環や脱炭素の分野でのZ世代の関心は高く、すでにコンサルティング会社や監査法人、大手企業では、その分野の人材を求めています。大企業においてもCSR担当に女性役員が多く登用されています。

 

-Z世代の活躍への期待は?

こういう分野にも結構Z世代が割と入ってきていると感じます。弊社でも16%が20歳代です。また会社全体で女性割合が6割近くになります。
Z世代は環境問題に関心は高いですし、すでにその分野を仕事として見なしています。某大学の学生は戦略系コンサルティング会社に就職が決まっていて、そのうえで環境分野の知識を得たいためにインターンとして弊社に来ています。戦略系コンサルティング会社でそういう部門があるということですが、それ以外でも、監査法人が欲しがりますし、同業他社や大手企業で新規参入組もたくさんあって、人材の獲得は熾烈です。ここ5年、10年の時はなかった傾向です。

 

-環境分野での女性の進出状況をどう見ていますか?

大手企業でもCSR担当役員って基本的に女性の方が多いと思います。それはエシカル消費者に女性が多いことも理由の一つですが、古くからの大手企業で競争を勝ち抜いてきた男性役員ばかりのなかで、女性活躍比率が意識されてきたことも理由の一つかと思います。環境分野は女性が活躍しやすい分野であると思います。

 

株式会社ウェイストボックスの将来ビジョン

環境に負荷をかけずに収益をあげることを目標にした企業は増えていますが、それを目標にとどまらせず、実行までに着実に繋げられるよう支援をおこない、「経済と環境の両立」ができる社会を実現していきたい。

 

ー将来的にどのような会社に成長したいとお考えですか?

SBT(Science Based Targets:パリ協定が求める水準と整合した、科学的根拠に基づく温室効果ガス削減目標)に取り組み、地球に過度な負荷をかけない形で収益を生み出していくことを掲げる企業は増えています。これからは、目標を掲げるだけでなく、実行まで着実につなげていくことが課題となっています。SBTに基づいた経営を実践する企業を増やし、私たちがその支援を担うことで、社会全体の収益がより小さな環境負荷のもとで生み出される社会を実現していきたいと考えています。

 

循環フェス名古屋2026に向けて

リサイクル商品や古着に対して「かっこいい」「選びたい」と感じる人が増えることは重要です。脱炭素であること自体が前向きに評価され、その価値に対して追加的なコストを支払うことにも理解が広がっていくキッカケになればいいですね。

 

ー循環フェス名古屋2026に期待することはありますか?

環境と経済を両立していくうえでは、リサイクル商品や古着に対して「かっこいい」「選びたい」と感じる人が増えることも、重要な要素の一つです。そうした価値観に共感して選択する人が増えれば、地球へのインパクトも小さくなります。脱炭素であること自体が前向きに評価され、その価値に対して追加的なコストを支払うことにも理解が広がっていくとよいと考えています。循環フェス名古屋のような場が、そのきっかけになることを期待しています。

 

<インタビュアーの感想>

企業の環境負荷を可視化し、経済性と両立させながら企業の変化を支えるウェイストボックス様の取り組みからは、循環型社会の実現に向けた確かな方向性がうかがえました。

 

インタビュアーは加藤珠生(南山大学)、山口莉穂(愛知大学)です。なお、右端は窓口となっていただいたウェイストボックスの望月さん、左端は循環フェス名古屋事務局の井澤でした。